NPO法人の設立支援者だから知っている「NPO設立で力を入れるべき手続き」を紹介!

こんにちは!井上嘉人行政書士事務所の黒木です。
今回は、前回のコラム(NPO法人とは?)に続いて、井上先生に「NPO法人の立ち上げを支援したときの、コツやエピソード」を紹介してもらいます。


NPO法人は、「世の中のためになることをしたい!」「人の役に立つ活動をしたい!」という人が、「自分1人で活動するんじゃなくて、同じ気持ちを持った人たちと一緒に活動していきたい!と思ったときにぴったりの団体です。


当事務所の、NPO法人設立・運営支援 福岡都市圏No.1の実績を踏まえて、NPO初心者の方から上級者の方まで、なるほど!と思っていただけるような、実践的・具体的な情報をお伝えします。


 

NPO法人 設立の実際

こんにちは。井上嘉人行政書士事務所 所長の井上です。

当事務所は開業して20年になりますが、これまでに数十のNPO法人の設立手続きを支援してきています。

また、設立手続きをお手伝いしたご縁から、多くのNPO法人から、設立後の運営(会計記帳や毎年の事業報告書作成など)についても、深く、幅広く、任せていただいています。


NPO法人の設立手続き 「力を入れるべきポイント」はここだ!

NPO法人は、法人組織の形態の一つですが、その活動内容や組織の実態は様々です。


特定された非営利活動を行うことを要件の一つとしていることから、法律の名前は「特定非営利活動促進法」となっています。
その特定された非営利活動の種類は20種類あり、様々な内容が含まれています。
そのため私のような行政書士が設立や運営の支援を行うためには、各団体が活動しようとする内容についてある程度の知識が必要となります。


今回は、実際のNPO法人設立支援経験から、「力を入れるべきポイント」についてご紹介します。


設立趣旨書は、「誰でも理解できる言葉」で書く


NPO法人を設立する際に最もハードルが高いのが、「きちんと認証(許可)がおりる設立申請書類作り」です。
特に設立趣旨書は、その内容をしっかりとしたものにして、所轄庁担当者や市民のみなさまに活動の趣旨を理解していいただく必要があります。


当事務所で支援をさせていただく際には、専門的な分野での活動を予定している団体の趣旨書作成については、原稿は設立代表者などに書いていただきますが、私どももその内容を理解してから、10種類以上に及ぶ申請書類の作成業務に着手することになります。


例えば大学の医学部の先生が医学に関する活動を行うNPO法人を作られた時には、最初にいただいた趣旨書は、その内容はおろか言葉すら私が聞いたことがないものが多数含まれていました。


設立趣旨書は一般の市民の方が読まれ、その内容を理解していただかなければ、設立後の支援を得られません。
そのためには、当事務所の方で分かりやすい内容に書き換えたりするわけですが、関連の書籍や雑誌等を買って読んだりwebで情報を得て、まず私どもが勉強をしてからの作業となります。


また、意欲に燃えてNPO法人を作られるわけですので、どうしても今後行う事業の内容に力がはいります。
当事者の方には当たり前のことかもしれませんが、初めてその内容に接すると、その背景や問題点が分からず、その事業の意義が理解できないこともあります。


そのために、当事務所がNPO法人の設立をお手伝いさせていただく際には、次のような点について、何度か聞き取りをさせていただき整理させていただいています。

  • 活動されようとする内容についての現状とその問題点
  • その問題を解決するためにするべきこと
  • 設立する法人はそのためにどんな事業をやろうとしているのか
  • またその効果はどのようなものなのか  など

そして、聞き取りさせていただいた内容を、難解な専門用語を避けて簡潔にまとめる必要があります。
その結果、設立当事者に「そうそう、こんなことをしたかったんだよ。」などと言ってもらったこともあります。


2年分の活動予算書は、経験者に力を借りるのが吉


設立趣旨書に加え、2か年分の活動予算作りも、NPO法人の設立を希望している方の多くが難しさを感じていらっしゃるようです。


NPO法人を設立するにあたって、2か年分の活動予算を作り提出する必要があるのですが、これから活動を始めようとして設立される場合は、どんな経費が掛かるのかが予測できないこともあります。


私は、20年ほどNPO法人の活動に従事し、国際的なプロジェクトはじめNPOとしては大きなイベントを事務局長としてやってきていますので、組織運営や事業運営については、行政書士というよりも実践者の立場から予算や事業計画の作成のお手伝いをさせていただいています。


NPO法人の設立手続き 「注意すべきポイント」はここだ!

家族の社員(会員)参加は何人でもOK。でも役員に入れるのは慎重に!


NPO法人の設立の要件に「社員(会員)が10人以上いること」というものがあるのですが、必ずしも設立申請時に10人必要というわけでもありません。
NPO法人が認証され、登記が完了し、正式に成立するまでに10人以上の社員がいる必要がある、ということです。


しかしこれまでの私の設立支援の経験から考えると、「NPO法人が成立するまでに10人そろえる」という社員の集め方は綱渡りになるので、「申請までに10人以上の社員さんをそろえておく」という方法をおすすめします。


また、この「社員10人」には、家族などの親族が入っていてもかまいません。ただし、「名前だけで実際にはNPO法人にかかわらない」というのは、定款に反することになりますので注意してください。


加えて、役員の場合は親族の就任は制限があります。


役員の数は、理事三人以上、監事一人以上なのですが、法律の第21条には「役員のうちには、それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族が一人を超えて含まれ、又は当該役員並びにその配偶者及び三親等以内の親族が役員の総数の三分の一を超えて含まれることになってはならない。」とあります。

一読して理解できる方は、とても読解力と理解力がある方だろうと思います。
「一人を超えて含まれ」とありますが、人を数えるのに小数点はないので、「二人以上が含まれ」と書いてくれたほうが分かりやすいと思うのですが、ほかの法律でも「一人または二人以上」という表現があります。厳格さを求めると慣れないとかえってわかりにくくなってしまいますよね。


結局「ある役員の配偶者又は三親等以内の親族が役員になってもいいけど一人までです。しかしその場合は、役員の総数が六人以上いなければなりません。」と、いうことです。


配偶者や親族で理事会の過半数を占め、議決を思うようにしてはいけないということです。身内で固めると「公益の増進」や「市民が行う自由な社会貢献活動」に支障が出ることがあるということなのです。


つまり、NPO法人は、多くの市民が非営利の目的のために力を合わせて活動する団体ということになります。この場合の「多くの市民」というのが最低十人ということになります。


さいごに

NPO法人の設立は、NPO活動をされようとする方にとっては初めてのことで、大変大きな関門となるかと思います。
しかし、設立認証申請書を作ることで、自分たちのやろうとしていることが整理できたり、予算や計画をまとめるきっかけにもなります。
非営利を目的とした団体であっても、具体的にどのような活動を行い、それにはどのくらいの経費が必要かを把握することは大変重要です。


NPO法人設立に限らず、株式会社設立であっても、実は設立よりも重要なことは設立以降の事業活動です。
何となくNPO法人は良さそうということで法人を設立したとしても、長くは続かないのではないでしょうか。
会社であれば設立時に20万円以上の経費が必要ですし、資本金の準備も必要となるので、何となく設立する人はほとんどいないと思います。
ところが、NPO法人は資本金はいりませんし、設立際しての役所等に支払う手数料も不要です。
このため、設立後の事業について具体的な計画を立てずにNPO法人を作られる方もおられると思います。
このような場合には、設立後に活動がなされず、また毎年事業年度終了後に提出が義務付けられている事業報告や活動計算書が作れないことになりかねません。
事業報告書等の提出が3年連続してない場合に、NPO法人の認証が取り消されることもあります。


まず、非営利を目的とした活動を行うために法人化が必要かどうかを考える必要があります。
法人化することで社会的には法律に基づく団体としての認知が得られ法律的な活動ができるようになりますが、そのために、法律に基づく手続き等の義務も伴います。


NPO法人の設立をお考えの際には、一度当事務所の方にご相談されませんか。
初回のご相談は無料でお受けいたします。
そして、されようとする活動の具体的な内容や経費についての見込み等のめどを立ててください。

また、場合によってはNPO法人ではなく一般社団法人、一般財団法人又は株式会社のほうがふさわしいかもしれません。
当事務所では、各種法人の設立や運営支援を数多く行っていますので、きっとお役に立てると思います。
是非一度、ご相談ください。